知財部になり立ての人がぶつかる壁の一つに、「意見書の作成」があります。
過去に誰かが書いた意見書を参考にしようにも、「今回のケースとは全然違う」ので、イマイチ参考にならない・・・といったことは、知財部であれば誰しも一度は経験したことがあると思います(;'∀')
意見書は、人によって書き方が全然違うし、当然拒絶の内容によっても書き方が全然異なるものなのです。
私も最初、いざ意見書を書こうとした時、何から手を付ければいいか全然わからず、とても四苦八苦した記憶があります('Д')
その時、私はまずは「書き方の定型文」が知りたいと思い、意見書の書き方についてネットで色々調べたのですが、欲しかった情報が得られなかった記憶があります。
やはりケースバイケースすぎて、型にはめるのが難しいんでしょうね(;'∀')
仕方ないので、私は会社のデータベースに保管されている自社の過去の意見書を読み漁り、それを真似しつつ、上司に添削してもらうことで、少しづつ経験を積んで何とか最低限の文章を書けるようになりました。
今回は、その時の経験を元に、初めて意見書を書く人が参考になるような情報をまとめたいと思います!
この文章の書き方は、何も特許の意見書だけに留まらず、結構一般的な作文にも役立ちますので、知財部でなくても、文章を作成する際の参考にしてみて下さい('ω')ノ
意見書の書き方
①引用文献毎に題名を付ける
まずは文章を整理することから始めましょう!
基本的な事ですけど、意外と大事です。
引用文献毎に、新規性の反論か、進歩性の反論かを明らかにして下さい。
各引例について、以下のことを明らかにした項目番号等をつけると分かりやすいです。
・何が指摘されているのか(新規性、進歩性、もしくは両方)
・各指摘について、どの請求項が対象なのか
このように、まずは読み手が分かりやすくなるように文章を整理することが重要です。
すると、書き手側の書きたい内容も整理されます( `ー´)ノ
例えば、
「(1)引用文献1に対する理由1及び2(補正前の本願請求項1〜3記載の発明の新規性及び進歩性不備)について」
のような感じで項目を作り、そこに引用文献1についての意見を書きます。
それが完了したら、次は
、「(2)引用文献2に対する理由1及び2(補正前の本願請求項1〜3記載の発明の新規性及び進歩性不備)について」
のように書いていきます!
②文章の型
原則、「事実認定→解釈(必要があれば技術常識)→結論」の順で記載してください。
事実認定というのは、引例に記載されている事項・本願クレーム・明細書の記載内容のことです。
いわゆる、
「審査官殿は、~と指摘されております。」
というやつですね。
これは拒絶理由通知のから引っ張ってくるだけなので、簡単です(^o^)/
解釈は、事実認定から導き出せる(引例や本願明細書等には記載されていない)、意見書作成者の考えた内容、要するに、審査官の指摘は間違っていることの主張です。
ここが論理のポイントとなり、書き手側のセンスが最も問われる部分になります('◇')ゞ
この項目の書き方については、後述します。
結論では、「新規性がある(引例に記載された発明ではない)」、「進歩性がある(引例の記載から当業者が容易に想到できない)」ことをはっきりと主張します。
この辺の留め言葉は定型文でOKです。
例えば、新規性について反論する場合、
「~の点で、本願と引用文献1は、相違する。」
とかになります。
進歩性について反論する場合は、
「引用文献1から本願発明を導き出すことは困難」とか、「容易に着想を得ることは出来ない」「技術的思想が異なる」「引用文献1からは予測できない顕著な効果がある」とかです。
以上のように、意見書は、基本的に「事実認定→解釈(必要があれば技術常識)→結論」といった「型」に嵌めて反論します。
初心者の方は、まずはこの流れを守って書く練習をしてみて下さい('ω')ノ
③新規性→進歩性の順に反論する
上記でいう「解釈」の書き方に当たる、重要なところです。
まずは新規性について反論し、その後進歩性について反論してください。
書くのに慣れないと、進歩性を先に述べてしまうことがありますが、これだと論理的に宜しく無いです。
まずは、新規性について反論しましょう!
「引例には〇〇が記載されているが、補正後の本願発明は××であり、引例の〇〇とは異なる」
といったことを記載して下さい。
次に、その差別化した事項が、引例から導き出せないこと(進歩性)を主張しましょう!
「引例の〇〇を、補正後の本願発明における××に置き換える動機づけがない」
といったことです。
このように書くと、理路整然として分かりやすくなります(^o^)/
④「効果の違い」について
発明の効果は、原則として、クレームにおける発明特定事項ではありませんが、進歩性において有利に参酌されることがあります。
侵害訴訟等でも間接的な事項であり、クレームの構成要件の位置付けより下がったもとなります。
要するに、「効果が異なる!」と主張しても、少なくても新規性の主張としては認められません('Д')
クレーム(特許権利範囲)と効果は関係ありませんからね。。。
そのため、効果が異なる!という主張をしたい場合は、進歩性の主張に関連付ける必要があります。
書き方としては、
「新規性有の主張→引例との相違点について引例から導き出せないとの主張」
を述べた後に、
「その相違点から新たな効果が導き出せることの主張(引例の記載から予想外であることの主張)」
として効果を主張すると良いかと思います!
⑤その他注意点
言葉を曖昧せず、はっきりと主張しましょう( `ー´)ノ
「明確に相違している」「全く同じです」のように、はっきりと断定した主張を心掛けて下さい。
曖昧にしていると、審査官につけこまれますよ・・・(;'∀')
いかがだったでしょうか!
重要点はほかにもあるような気がしますので、気づいたら書き加えていきます!
意見書が書けるようになるためには、基本的には数をこなすしかないです(;'∀')
ただ、ガムシャラに数をこなすのと、ある程度の「型」を認識したうえでこなすのとでは、間違いなく習熟の速さに差が出ます。
上記の書き方のポイントを参考にしつつ、数をこなしていきましょう!
それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました。
また宜しくお願いします!
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