皆さんこんにちは!
今回はEPC出願について説明していきたいと思います。
EPC出願はヨーロッパの出願制度であり、そういった地域に物を売っていこうという会社にとっては、PCTと同じぐらい重要性の高い出願方法となっています。
PCT出願に関する記事はコチラ↓↓↓↓
欧州特許出願(EPC)の概要
まず、欧州特許条約(EPC)とは、特許出願の手続き要件・業務を一本化し、出願から特許の付与までを欧州特許庁で一括して行える条約のことです。
⇒PCTとは異なり、各国に審査を移行する必要がない、ということです!
EPルート出願の特徴
・出願言語:英語、ドイツ語、フランス語からいずれか一つ
・出願〜特許付与:欧州特許庁(EPO)が審査
・付与後特許:単一の特許ではなく、各指定国の国内特許の「束」
⇒各指定国の国内特許と同一の効果
EPC加盟国
・EPC加盟国は38+2(拡張協定国)で40か国であり、下記参照
EPC加盟国
アルバニア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、マケドニア旧ユーゴスラビア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、モナコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サンマリノ、セルビア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国
拡張協定国
ボスニアヘルツェゴビナ、モンテネグロ
・PCT出願からの国内移行において、必ずEPC移行が必要な国は下記参照
(下記の国へは直接に国内移行は不可)
フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、キプロス、ギリシャ、モナコ、アイルランド、スロベニア、ラトビア、マルタ
EPCルートと国別ルートの比較
EPCメリット
・出願から特許付与まで一括して行える
・英語で手続き可能
・拒絶理由とは別のサーチレポートがある
※サーチレポートとはPTCでいう見解書のようなもの。
EPCデメリット
・欧州特許庁で拒絶されると、いずれの指定国においても特許化出来ない
・週数の指定国では割高料金(3か国以上でメリット有り)
国別ルートメリット
・欧州特許庁では特許化が難しい場合でも、他の国で特許化の可能性がある
・2か国以下の出願の場合は割安
国別ルートデメリット
・手続き言語が各国異なる
・出願書類等各国異なる
・引例が各国ごとの言語になり検討困難
権利化プロセス
ここでは、EPC出願した際の出願公開までの期限、対応等を紹介していきます。
パリルート
0か月:日本出願(優先日)
12か月以内:EPC出願
18か月後:出願公開(サーチレポート含む)
出願公開から半年以内:審査請求(、意見書・補正書等)
※サーチレポートの評価が悪い場合、出願公開後に何かしら対応する必要がある
PCTルート
0か月:日本出願(優先日)
12か月以内:PCT出願
31か月以内:EPC国内移行(=審査請求)
↓
受理官庁からの通知(Invitation)から半年以内にサーチレポートと共に出願公開
(この間自発補正可能)
↓
審査続行(Invitation)受理から半年以内に審査続行応答(、意見書・補正書)提出する
EPCと他の制度との異なる点
新規性(EPC54条)
・拡大先願、及び自己衝突
⇒先願未公開の欧州特許出願の出願日から、後願排除
※例え同一出願人・発明者であろうと拡大先願により拒絶
その他EPC出願の留意点
・補正の新規事項追加に注意!!
⇒出願時の内容を超える対象を含む補正はNG
EPの補正は大変厳しく、明細書全体から直接的かつ明確である事が必要
・維持年金がかかる
⇒出願から起算して3年目から
出願維持中は維持年金、特許化後は特許年金が必要
いかがだったでしょうか(^o^)/
特に自己衝突のことなど、ちゃんと覚えておかないマズイです!!
後願排除されてしまいます( ゚Д゚)
ちなみに、欧州は現在各国ごとの翻訳費用、訴訟費用が発生しており、まだまだ複雑で不便な状況です。
今後はこれらを統一化するという動きもあるため、その辺の法改正がなされたらまた更新します!
それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました。
また宜しくお願いします!
お問い合わせはコチラ↓↓↓